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意外と知られていないシャドウイングの注意点

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対象:シャドウイングをやっているけど伸びない
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関連:シャドウイングの効果・やり方

シャドウイングの注意点

シャドウイングは万能薬ではない

英語上級者の方で、「シャドウイングは必須」「ディクテーションよりもシャドウイングのほうが効率的」と仰る方はけっこう多いと思うんです。

僕も一時期、シャドウイングにハマってひたすらやっていた時期がありますが、伸び悩みを経験してから、今では必須のトレーニングではなくなっています。

先日、英検のサイトでそのことの裏付けになりそうな研究を見つけたので紹介しておきます。

染谷(1996)によると,プロソディー(発音・アクセント・イントネーションなど)は自然なコミュニケーションにおける意味伝達のおよそ30~40%を担っているとされるが,

これを逆の視点からとらえれば,たとえシャドーイングにより英語のプロソディーが完全に獲得できたとしても,それは英語リスニング能力向上への必要条件を100%満たすわけではなく,その内の30~40%の貢献度にすぎないことを意味する。

……玉井(2002)も「シャドーイング技術=リスニング力」という等式は成り立たないと実験結果から導き出しており、その二者間の相関が低い理由として,シャドーイングによる音韻分析段階のプロダクトと,リスニングテストによる意味処理までなされた最終的なプロダクトを比較していたためと指摘している。

話を理解するということは,音声の表層構造をとらえるといった技術的な音声処理だけではなく,背景知識を使った top-down 的な認知処理も必要となる

その両者を併せ持って,初めてリスニング能力向上へとつながる。

……これらのことから、シャドーイングの効果を最大限に引き出すためには,top-down 的認知処理をその活動に組み入れる必要があると言える。

【出典】逐次通訳メソッドによるアウトプット練習が英語コミュニケーション能力に与える影響

シャドウイングには、プロソディ・シャドウイングとコンテンツ・シャドウイングの2つがあります。

(1) プロソディ・シャドウイング → 発音音の変化・イントネーション重視
(2) コンテンツ・シャドウイング → 意味や内容をつかむことを重視

僕の英語力でシャドウイングをやると、どうしても発音に意識がいってしまう(=プロソディ・シャドウイングになってしまう)ため、コンテンツ・シャドウイングにならないんですね。

また、TOEIC 800~900点取得された読者さんでも、「シャドウイングは、自分にとっては難しすぎる」という方は少なくないです。

【参考】TOEIC スコアアップされた読者さん

シャドウイングを強く勧めておられる方は、例外なく上級者なんですよね。

もちろん、効果を感じておられるのであれば問題ないです。

ただ、上述した研究結果、僕自身の経験、読者さんからの報告から、初~中級者の方で、シャドウイングで伸び悩みを感じているのであれば、別のトレーニングも取り入れたほうがいいです。

 

リスニングで聞き取れるようになるまでの流れ

まず、リスニングで「聞き取れる」という状態になるまでの流れをまとめておきます。

(1) 音が聞き取れる
(2) 意味がつかめる
(3) 会話の流れ・状況がつかめる
(4) 速さについていける

この4つをクリアして初めて「聞き取れる」状態になります。

(1) 音が聞き取れる

まず最初に(1) 音が聞き取れるようにならないと始まりません。

個々の単語の発音もそうですが、「put⌒it⌒on」と音が連結したり、「definitely」の「t」の音が消失したりする、音の変化も聞き取れるようにする必要があります。

【参考】英語 リスニングのコツがつかめる7つの発音ルール

 

(2) 意味がつかめる

音が聞き取れても、その聞き取った音から意味がつかめなければ、聞き取れるようにはなりません。

単語や熟語の意味はもちろんですが、文法や構文も処理する必要がありますし、文構造も把握する必要があります。

 

(3) 会話の流れ・状況がつかめる

その英文の意味が直訳的につかめたとしても、その意図は何なのか、会話の流れや状況がつかめないと、誤解してしまいます。

例えば「What's the purpose of your trip?(あなたの旅の目的は何ですか)」と聞こえてきた瞬間に、そこが入国審査であると想像できるかどうかです。

もし、日本にやってきたアメリカ人に、「どうして日本に来たの?」と聞いているのなら「What brings you to Japan?」になります。

また、「Why did you come to Japan?」だと「なんで日本に来たんだよ(来なくていいのに)」というニュアンスになります。おそろしや。

なので、その単語やフレーズの意味がつかめるだけでなく、その会話の流れや状況もつかめるかどうかも非常に重要になります。

TOEICリスニングのPart 2は、2つのセンテンスを聞いただけで、会話の状況をイメージできないと解けない「間接応答問題」があり、個人的には、会話の状況がつかめない、弱点発見に役立つと感じています。

【参考】TOEIC スコアもリスニング力も向上する勉強法 Part 1・2編

 

(4) 速さについていける

僕の今のリスニング力(TOEIC950点&英検準1級)では、映画やドラマを字幕なしで聞き取るのは厳しいです。

また、ネイティブの生の会話が聴けるポッドキャスト「Speak UP Radio」は、映画やドラマよりは比較的易しいのですが、それでも聞き取れない箇所はけっこう多いんですね。

ところが、「Netflix」を観るときに、GoogleChromeの拡張機能「Video Speed Controller」を入れて0.7~0.8倍速で聞くと、聞き取れる割合が増えるんです。

また、Speak UP Radioも「SONYのMP3ウォークマン」などで速度を0.9倍速に落とすと、けっこう聞き取れるんですよね。

このことから、特に速い英語を聞き取るためには、リスニングの処理速度(理解速度)もけっこう重要であることが分かります。

 

意味をつかむためには、暗唱か瞬間英作文

オーバーラッピングやシャドウイングで伸び悩みを感じ始めたら、暗唱か瞬間英作文をお勧めします。

TOEIC 900点をめざしていた頃、オーバーラッピングとシャドウイングでリスニングで400点前後までいったのですが、そこから伸び悩みました。

『会話できる英文法大特訓』という『瞬間英作文本』を1冊こなし、TOEIC Part 3・4の和訳と英文スクリプトを使って瞬間英作文をやったところ、リスニングで445点が取れました。

このことから、暗唱や瞬間英作文のような想起(思い出す)系のトレーニングをやると、スピーキングはもちろん、リスニングの「意味をつかむスキル」が伸びることに気づきました。

僕は瞬間英作文派ですが、TOEICや英検のリスニングパートの「意味をつかむチカラの向上」として、より即効性があるのは暗唱ではないかと考えています。

TOEICならPart 3・4で、英検ならリスニングパートで暗唱をやる
→ TOEICや英検によく出る会話・トーク・トピックの流れのデータベースが増える
→ 音声が聞こえてきた瞬間に意味がつかめる&内容を予測できる

というメリットがあるからです。

【参考】TOEIC Part 3・4が聞き取れない→「暗唱」で道は開ける!

 

シャドウイングでスピーキングが伸びる人 = 上級者かも

シャドウイングって、通訳者のためのトレーニングというイメージがあると思うんですよ。

ですが、通訳者がシャドウイングを絶対視しているかというと、意外とそうでもないんですよね。

これ(シャドウイング)は同時通訳者になるために必ず行う訓練かというと、そうではなく、パリ第3大学の通訳翻訳高等学院という大学院レベルの通訳養成コースでは、決して(シャドウイングを)やらせません

理由は、聞こえたことをそのまま真似して発話するような訓練をしてしまうと、訓練生に「通訳というのはオウムのように繰り返すことだ」と誤解してしまうので、不適切な訓練方法である、というのです。(P. 94)

本物の英語力

僕の知る限り、「シャドウイングでスピーキングも伸びる」という方は上級者なんですよね。

上級者の方は、当然ながら英語力が高いので、TOEICや英検1級レベルのリスニングはかなり聞き取れます。

初~中級者と違って、精聴精読せずとも瞬時に意味がつかめるので、コンテンツ・シャドウイングがやりやすいのではないかと考えています。

 

シャドウイングは主に「音を聞き取る」ため

というわけで、初~中級者の方は、オーバーラッピングとシャドウイングは、主にリスニングの「音」を聞き取るチカラを向上するためのトレーニングと考えておいたほうがいいです。

英語学習初期の頃は、聞き取れる「音」のデータベースが少ないので、オーバーラッピングやシャドウイングをやるだけである程度伸びます。

ですが、TOEIC 800点や英検2級くらいになってくると、

● 音は聞き取れるけど、意味がつかめない
● 何度か聞くと理解できるけど、一発で理解できない
● 聞き取れた単語から何となく分かるけど正確に聞き取れない
● 部分的に単語は聞き取れるけど速さについていけない
● ディクテーションしたら知ってる単語ばかりだった

という割合が増えてくるはずです。これは単語や文法などの処理ができていない、意味をつかむチカラが弱いからです。

こういった悩みが増えてきたら、「意味」をつかむチカラを伸ばせる、暗唱や瞬間英作文”も”並行してやることで、リスニング力は再び伸び始めるはずです。

【参考】TOEIC Part 3・4が聞き取れない→「暗唱」で道は開ける!
【参考】英会話の上達に効果抜群の独学勉強法「瞬間英作文」

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